“暮らしを守る森林”の視点を伝える論文集、『森林の江戸学Ⅱ』を読んでみました。

みなさんは、江戸時代の森林に、思いを馳せたことがありますか?

石油に依存する現代とは違い、炭や薪が主な燃料だったその昔。

そして、何を建てるにしても、新建材などない時代。

人々と森林の関係は、今の私たちのそれとは、全く別のものだったに違いありません。

「森林の江戸学Ⅱ」徳川林政史研究所編2015年3月発行/東京堂出版)は、江戸幕府や各藩が行っていた「林政」についての論文を編集した一冊です。

論文なので、するすると簡単には読めませんでした。
でも、森と私たちの暮らしについて考え直すヒントが、たくさん詰まっていました。

戦国時代から徳川幕府初期にかけて、日本の森林は急激に荒廃していたそうです。
その影響で、洪水や渇水などの災害も多かったといいます。

それをどのように改善していったのか。
この本では、幕府をはじめ、尾張藩・岡山藩・秋田藩・弘前藩・熊本藩・仙台藩など各藩の「林政」の事例を通して、読み解かれていきます。

そこには、2011年3月の東日本大震災をはじめ近年各地で起きている大災害による被害を目の当たりにして、江戸時代に育まれていた“暮らしを守る森林”を見直そうという志が貫かれています。

森林のありがたさに、あらためて心を向ける

原点は、今も昔も同じです。

森の木々は、水源を育み、土砂の流出を防ぎ、川の流れを調整してくれる。
海岸や屋敷の木々は、風や砂から人を守ってくれる。
町の木々は、火災から人を守ってくれる。
木々の実は、凶作や飢饉の備えてになってくれる。
そして木々は、私たちの住まいや燃料の材として役立ってくれる。

そのありがたさを忘れることなく、森林の恵みに感謝し、森林と私たちの暮らしの関係に目を向け、健やかな森林の保全を目指して行動していくことが、何より大切です。

昔の知恵が、それを示してくれます。

SMALL WOOD TOKYOは、「東京の森で育ったスギ・ヒノキを街で暮らす人たちにお届けすることで、森の保全に貢献したい」という思いを胸に2012年に立ち上げた木製品ブランドです。

大きな循環のほんの小さな一部ではありますが、これからもコツコツと続けていきたいと、この本を読みながら思いを新たにしました。

井の頭公園のあたりは、クリやマツが茂っていた!

さて、「森林の江戸学Ⅱ」というタイトルをご覧になって、なぜ「Ⅰ」ではなく「Ⅱ」を紹介するのか?・・・と疑問に思われたかもしれませんね。

私が「Ⅱ」から読み始めたのには、訳がありました。

今年2017年は井の頭恩賜公園100周年で、5月以降、記念式典や講演や展示などが、あれこれ行われています。
その一環で6月10日に「武蔵野ふるさと歴史館」で催された「井之頭御林にみる江戸幕府の森林政策」と題した太田尚宏先生(国文学研究資料館・准教授)のお話を聞いたのです。

その詳細が「森林の江戸学Ⅱ」のⅤ章に編纂されていると知り、「Ⅰ」よりもまず、「Ⅱ」を手にしたというわけです。

現在は池の畔のサクラと、御殿山あたりのイヌシデやモミジなどの雑木林が印象的な井の頭ですが、幕末は、樹木の27%がクリ、25%がマツだったというお話です。

詳しくは、「いのきちさん35号」に書かせていただきましたので、「なぜ、クリとマツだったのか?」と疑問を感じた方は、ぜひこちらも読んでみてくださいね。

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